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中間テスト・中間試験

2012年11月06日(試験時間40分)

問題1
以下の文章の正(○)誤(×)を判断せよ。

1. 一般法は特別法に優先する

(答え)誤り(×)。特別法は一般法に優先する。間違えたものは猛省すること。

2. 1つの事件に公法と私法が併行して適用されることはない。

(答え)誤り(×)。例えば交通事故のように、併行して適用される事件もある。

3. 憲法の最終的な解釈権は、国権の最高機関である国会に帰属している。

(答え)誤り(×)。国会に違憲審査権はない。

4. 公務員に対して憲法への忠誠を強制することは憲法に違反する。

(答え)誤り。教科書249ページNo.2より出題。違反しない。憲法99条公務員の憲法尊重擁護義務。

5. 公務員は、それぞれの良心にしたがって憲法を解釈し、職務を遂行しなければならない。

(答え)誤り。教科書249ページNo.3より出題。最高裁判所判例に拘束される。

6. 国会が憲法改正の発議をなすためには、両議院の出席議員の3分の2以上の賛成が必要である。

(答え)誤り(×)総議員の2/3以上。教科書249ページから出題。247ページも参照のこと。

7. 国会における憲法改正案の審議において、衆議院先議の原則が定められている。

(答え)誤り。教科書249ページNo.12より出題。両院対等である。教科書247ページにも記述あり。

8. 憲法改正案を審議するためには、総議員の2分の1以上の出席を必要とする。

(答え)誤り(×)。教科書249ページNo.13から出題。総議員の1/3以上で足りる。247ページも参照のこと。

9. 天皇は、改正憲法の公布に当たって、その内容が明らかに憲法の基本原理に反すると思料したときには、公布を行わないことができる。

(答え)教科書249ページより出題。誤り(×)。天皇に違憲審査権はない。

10. 憲法上、外国人に対して、労働基本権は必ず与えなければならないが、勤労権は与えなくてもよい。

(答え)正しい()。教科書19ページNo.2より出題。教科書13ページの一覧表を参照。

11. 外国人は、憲法上、政治活動を行うことをいっさい禁止されている。

(答え)誤り(×)。教科書19ページNo.3から出題。全面的に否認されているわけではない。13ページ「マクリーン事件」参照。授業中に念入りに説明したはず。

12. 法人は、たとえば、裁判を受ける権利、刑事補償請求権を享受することができない。

(答え)誤り(×)。教科書19ページNo.4から出題。裁判を受ける権利は享受することができる。14ページ参照。

13. 天皇の人権享有には大幅な制約があるが、皇族については一般国民と同等の人権享有が確保されるべきである。

(答え)誤り(×)。教科書19ページNo.7から出題。皇族についても相応の制約が必要とされている。15ページ参照。

14. 人権の私人間への全面的な適用を不可とする根拠として、私的自治の原則を挙げることができる。

(答え)正しい()。教科書19ページNo.8より出題。教科書15ページを参照。

15. 人権の私人間への適用が認められるためには、多くの場合、その私人間の関係が権力的関係であることが必要とされる。

(答え)正しい()。教科書19ページNo.9より出題。教科書16ページを参照。なお、この問題は「人権の適用」であり、憲法を適用と書かれていないことに注意すること。

16. ある私立大学は、学則において、大学に許可を得ないで政治活動を行うことを禁止していた。判例はこのような学則も違法とはいえないと判断した。

(答え)誤り(×)。教科書19ページNo.11から出題。教科書18ページ昭和女子大事件参照。

17. 民間企業が、特定の思想、信条を有する者を、そのことを理由として雇い入れを拒否することは、違法である。

(答え)誤り(×)。教科書38ページNo.5から選択肢2を抜粋したもの。三菱樹脂事件の判決趣旨。企業が特定の思想・信条を有する者をその故をもって雇い入れることを拒んでも、当然に違法とすることはできないとするのが判例である(最判昭48.12.12)。

18. ヘアスタイルや服装の自由も幸福追求権に含まれる。したがって、市長が市の職員に対し、ヘアスタイルや服装について規制を設けることは違憲である。

(答え)誤り(×)。教科書33ページNo.3から出題。前半は正しいが、後半は誤り。

19. プライヴァシーの権利は、あくまで公権力との関係において主張しうるものであるから、私人たる作家がその作品において、他者の前科を実名を用いて書いたとしても、プライヴァシー侵害の問題は生じない。

(答え)誤り(×)。教科書33ページNo.5から出題。プライバシーの権利は私人に対しても効力を持つ。教科書28ページ、ノンフィクション「逆転」事件参照。

20. 企業の就業規則において男女差別があれば、憲法14条に違反し無効である。

(答え)誤り(×)。長尾一紘『はじめて学ぶ やさしい憲法』(実務教育出版)の72ページ練習問題No.2の選択肢2より出題。直接憲法に反するから無効とされるのではなく、中間に民法90条が介在する。

21. 強姦罪の規定は、男性のみを罰するものとしているので、法の下の平等に反する。

(答え)誤り(×)。教科書33ページNo.9から出題。教科書30ページ参照。

22. 尊属殺規定(刑法旧200条)は、尊属と卑属の関係において、差別的取扱いをしているので違憲である。

(答え)誤り(×)。教科書33ページNo.10から出題。理由づけが誤っている。

23. 非嫡出子に対する相続分の差別は、合理的差別である。

(答え)正しい()。教科書33ページNo.11から出題。判例の趣旨である。

24. 法の下の平等は公権力を拘束するためのものであるので、私人の行為にこれが適用されることはありえない。

(答え)誤り(×)。教科書33ページNo.12から出題。間接的に憲法14条が適用されることはありうる(日産自動車事件、三菱樹脂事件参照)。

25. 幸福追求権により国民の私生活上の自由が保障されていることは判例も認めているから、自己消費を目的とする酒類製造を、立法府がその裁量権にもとづいて制約をすることは許されない。

(答え)誤り(×)。教科書34ページNo.1から選択肢3を抜粋したもの。授業中に説明済み。酒税の徴収を確保するため、酒類製造を免許の対象とし、これにより自己消費目的の自由が制約されるとしても、そのような規制が著しく不合理であることが明白とはいえないとするのが判例である(最判平.12.14)。詳しくはどぶろく裁判(ja.wikipedia.org)参照。

問題 2
法のもつ意味として不適切なものを選べ。
1. 自律的、内面的規範である。 2. 社会秩序を維持する機能をもつ 3. 国家により強制力を付与されている 4. 現代では議会で制定されるため国民の意思が反映している 5. 正義を実現するものである
(出典:TAC公務員講座編『公務員Vテキスト社会科学』p.13)

(答え)1

法は人間の外面の行動を規制する国家によって強制される社会規範であり、法は国民の意志を政治権力に反映させる機能を持っている。

一方、道徳は、人間のあり方を内面的、精神的に規制する社会規範である

問題 3 法の分類に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 1. 一般法と特別法とは,法の適用が当事者の意思によるか否かに基づく分類である。 2. 手続法と実体法とは,適用範囲の広狭に関する区別であり,後者が前者に優先して適用されるという原則がある。 3. 公法とは国家と個人の関係,私法とは私人間について規定する法で,商法,民事訴訟法などは公法に分類される。 4. 社会法とは,公法と私法の中間領域に位置する法で,労働法,社会福祉法,経済法などがある。

( 問題 4 つぎの記述のうち、妥当なものはどれか。 1. 憲法99条は天皇にも直接憲法尊重擁護義務を課しているから、天皇が当該義務に違反する行為を行った場合、同条の規定にもとづきその責任を負う。 2. 国が公務員に対して憲法遵守の宣誓の義務を課すことは、個人の思想・良心の自由を侵害するおそれがあるため許されない。 3. 公務員が憲法の内容を否定し、また改正を主張することは、憲法尊重擁護義務に違反するからおよそ認められない。 4. 憲法尊重擁護義務は国政の運営にあたる公務員に対してとくに課せられたものであるが、憲法99条にいう「その他の公務員」には地方公共団体の公務員も含まれる。 〔参考〕日本国憲法99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 問題 5 憲法改正に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。(地方上級) 1. 国会における憲法改正の発議についても、法律案と同様に衆議院の優越が認められている。 2. 憲法改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成を経た後、国民投票において、その3分の2以上の賛成を経たときに行われる。 3. 憲法改正について国民の承認を経たときには、天皇は、国民の名で直ちにこれを公布しなければならない。 4. 憲法改正の国民投票は、衆議院または参議院の選挙のさいにのみ行うことができる。 5. 憲法改正が改正手続きによって行われるかぎり、改正の内容には限界がないとするのが通説である。

問題 6
次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. (国政・地方含めて)選挙権は国民固有の権利であるから、外国人にこれを保障することは憲法上禁止されている。
  2. 法人に懲役刑を科すことはできないが、罰金刑を科すことは可能である。
  3. 天皇にも結婚の自由は保障されている。
  4. 法人は人間(自然人)ではないから、権利能力を持たない。
  5. 外国人は、社会保障について、日本国民と同様の権利を享受しうる。

長尾一紘『はじめて学ぶやさしい憲法』72ページより出題。

  1. 誤り。国政選挙についてはその通りだが、地方選挙権については法律次第で選挙参加も許されうる。
  2. 正しい。
  3. 誤り。保障されていない。
  4. 誤り。権利能力を持つ。
  5. 誤り。同様の権利までは保障されていない。

したがって、答えは 2

問題 7
人権の享有主体に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。
1.憲法3章に定める国民の権利および義務の各条項は、国民すべてに等しく平等に適用されるもので、成年者のみを対象とした規定は存在しない。
2.天皇も日本国民としての人権が保障され、ただ職務の特殊性および皇位の世襲制から必要最小限の特別扱いが認められるにすぎないから、選挙権・被選挙権などの参政権を認めることも許される。
3.在監者は一般国民とは異なった人権制限に服することとされ、新聞閲読の自由や信書の発受を行う自由は認められない。
4.国政選挙の選挙権・被選挙権は、国民主権原理から日本国民のみに認められた権利であって外国人には補償は及ばないが、いわゆる定住外国人に法律で地方公共団体の選挙権を付与することは憲法上禁止されていない。

これは小林先生の公務員研究と連動させるために出題した。

  1. 誤り。5条3項は成年のみに選挙権を与えています。
  2. 誤り。
  3. 誤り。
  4. 正しい。

よって、答えは 4

問題 8
以下の人権のうち、通説・判例において、外国人に憲法上の権利として保障されないものを1つ選べ。

  1. 新聞社を設立すること
  2. 衆議院議員選挙で投票すること
  3. 労働組合に加入すること
  4. 日本から海外に出国すること

答えは 2。外国人に国政選挙権を与えることは禁止されています。保証もへったくれもありません。

問題 9
私人相互間における基本的人権の保障に関するつぎの記述のうち、判例に照らし妥当なものはどれか。 1. 基本的人権の保障は、すべての社会生活に共通する基本原理であるから、憲法の人権保障規定は、国または公共団体と個人との関係を規律するのみならず、私人間の関係について当然に適用される。
2. 自由権的基本権の保障規定は、本来、国または公共団体の統治行動に対して個人の基本的な自由と平等を保障することを目的とした規定であって、私人相互間の関係について当然に適用されるものではない。
3. 基本的人権の保障は、私人間における法律関係に当然に及ぶものではないが、当事者の一方が情報の収集、管理、処理について強い影響力をもつ日刊新聞社である場合には、憲法の規定が直接適用される。
4. もっぱら女子であることのみを理由として女子の定年年齢を男子より低く定める就業規則は、性別のみによる不合理な差別を行うものであり、基本的人権の保障は、私人間にも当然及ぶものであることから、法の下の平等を定めた憲法14条1項の規定に反し、無効である。
5. 思想、信条の自由に関する憲法上の保障は、私人相互間にも当然に及び、これを制限するのは合理的理由のある場合に限られるから、企業者が特定の思想、信条を有する者をそのゆえをもって雇い入れることを拒むことができるのは、客観的に合理的な理由が存在し、社会通念上相当と是認される場合に限られる。

教科書24ページのNo.5からそのまま出題した。

答えは 2

問題 10
憲法13条に関する次の記述のうち、判例に照らし、妥当なものはどれか。(国2)

  1. 何人も、みだりにその容ぼうを撮影されない自由があるから、たとえ警察官が事件直後に現場の状態を記録するためであろうと、同意なき撮影や第三者が写っているものは、違憲となる。
  2. 市長が弁護士会の照会に応じ、犯罪の種類、軽重を問わず、前科などをすべて報告することは、公権力の違法な行使に当たる。
  3. 個人は、その前科などについて、公的機関以外の私人や私的団体に対しては、みだりにそれを公開されない法律上の権利を有しない。
  4. 喫煙の自由は憲法13条の保障する基本的人権の一つに含みうるから、被拘禁者の喫煙を禁止することは、違憲となる。

〔参考〕日本国憲法第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

答えは、2

問題 11
憲法13条に関する次の記述のうち、判例に照らし妥当なものはどれか。
1. 憲法13条後段のいわゆる幸福追求権の規定について、判例は当初から一貫して具体的権利性を認めている。
2. 個人の私生活上の一つとして、なんびともその許諾なしにみだりにその容ぼう、姿態を撮影されない自由を有する。少なくとも警察官が正当な理由もないのに個人の容ぼう等を撮影することは憲法13条の趣旨に反し、許されない。
3. 前科および犯罪経歴は、人の名誉、信用に直接かかわる事項であるが、市長が弁護士会の紹介に応じ、犯罪の種類、軽重を問わず、前科などすべてを報告したとしても、そのことは弁護士会の公的性格にかんがみ、公権力の違法な行使に当たるものではない。
4. 自動速度監視装置による運転者の容ぼうなどの撮影は、本人の承諾にもとづかないものであるから、憲法13条に違反する。
〔参考〕日本国憲法第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

問題は教科書p.34のNo.2を一部変更して出題した。

  1. 誤り。憲法13条の法的性格については、判例は当初は明確な態度を示していなかった。京都府学連事件において具体的な権利性を承認するに至った。
  2. 正しい
  3. 誤り。プライバシーの重要性に鑑み、たとえ弁護士会からの照会であっても、市長が合理的な理由もなしに
  4. 誤り。自動速度監視装置による撮影は、速度違反などの現行犯などになされ、緊急に証拠保全をする必要があり、相当な方法によるものである(最判昭61.2.14)

したがって、答えは 2

解答

工事中


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