Web公開日:2003年11月18日
道州制ならびに市町村合併に関する私的なメモです。
第一に合併が地域の課題の解決にどう影響するのか説得力のある答えが非常に少ない。現行の合併論は現行制度をいかに効率化するかという視点だけが強調されている。
第二は、自治体合併によって効率化が達成できるか否かが不確定だという点である。現行の公共事業に依存した行財政運営を続ける限り、机上の計算通りには事業の効率化は進まない。実際に、合併したいくつかの市町村ではそうした利益配分的運営が依然見受けられる。
さらに合併にともなって、短中期的には新たなコストが発生することも考慮しなくてはならない。さまざまな書類や看板の書き換え、議会や行政部局の再編成、建物や人員の再配置まで、一定期間は通常よりも余計なコストがかかる。ちなみに、民間企業では事業コストは早期回収が成功のセオリーと言われている。合併も同様に、合併にかかるコストの早期回収が成功の鍵を握るであろう。
合併論の盲点の三番目は、合併論に具体的な税源改革論がないことである。国の財政をスリム化しながらも、住民ニーズに合せたサービスを供給するためには、地方自治体が自由裁量的に使える税源をどのように拡充していくのか、という視点が不可欠である。
(参考文献)
13日に首相に提出された地方制度調査会の答申に、道州制について、(1)現在の都道府県を廃止し、より自主性の高い自治体として設置する(2)国の出先機関の事務権限は道州に移管する、などの考え方が示されている。本格的な議論は次の調査会に先送りとのこと。
高橋保幸松阪大学教授が「最も国の補助金に頼っている北海道を道州制のモデルにしても意味がない」と述べている。全く同意。ちなみに高橋教授は都道府県制度廃止論者。ちなみに、私はモデル地区にするなら人口、経済規模から言って、首都圏が相応しいと思っている。
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