2003年12月6日公開
このページもいつまで続くのやら・・・
西尾勝『行政学』(有斐閣, 1993年)の316ページに気になる文。
政策分析の情報を必要としているのは政策決定者だけではない。政策の立案と実施を任務にしている行政官たちだけでもない。民衆もまたこれを求めているのである。
ただ、政治家と行政官が必要としている情報と、民衆が必要としている情報は同じではない。政治に参加し行政活動の効果を享受している民衆にとって有用な情報は、問題を解決するのに役立つような詳細な情報であるよりも、むしろ問題の所在を示し、政治的関心を喚起するような簡明な情報であることを要する。したがって、政策決定者のための政策分析手法とは別に、民衆に役立つ行政診断手法を開発していく必要がある。
大学院修士課程時代に履修した講義「都市政策」で配布されたプリントを眺めていたら、イギリスの政策評価のサンプルを見つけた。以下に示す。
たとえば運輸大臣(Secretary of State for
Transport)は3年単位の改善目標を出しているが、その1989年度の改善目標を見ると、最悪の部門といわれているネットワーク・サウスイーストで次のような改善目標が設定されている。 ○正確さ;1日全体では、92%の列車が5分以上遅れないようにする。 ○信頼性;運休列車は1%以下にする。 ○清潔さ;すべての列車の清掃を行う(車内・車外とも) ○電話の問い合わせ;問い合わせの95%以上は30秒以内に返答する。 ○予約の待ち時間;3分以上待たなくてよいようにする。 |
日本の政策評価もこのぐらいわかりやすいと市民になじめるのでは。市民になじめるものを作ることは多くの外部人間の評価を受けるためにも必要である。
もっともこの授業の最中に、某市役所の職員が長々と屁理屈を並べて上記のようなものはできないと言っていたことを覚えている。できない理由を述べるエネルギーがあるのなら、実現できるよう努力はしないのか。
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