母集団と標本

母集団と標本は,英語ではそれぞれ polulation および sample といいます(『統計学II:推測統計の方法』日本統計協会,p4)

標本調査について述べた次の記述のうち,誤っているものを1つ選んで下さい。(日本統計学会編『データの分析』東京図書,p.143)

  1. 標本調査は,母集団の一部を対象に行われる調査である。
  2. 母集団から適切に標本を選ぶことによって,母集団の特徴や傾向を予想することができる
  3. 標本を選ぶ方法としては,無作為抽出法が望ましい。
  4. 調査の目的は,標本の特徴や傾向を知ることである。

(答え)4. 標本の目的は,標本の特徴や傾向を知ることである。

調査の目的は,標本の特徴を掴むことではなく,母集団の特徴や傾向を知ることです。

母集団と標本や無作為抽出に関する記述について,次のうちから適切でないものを1つ選びなさい。(統計学II,p145)

  1. 母集団のサイズが大きく全体を調査することが不可能な場合には,その一部を標本として抽出して調査する。その際に,無作為抽出が平均的に偏りのない標本を得る手続きとして基本的な手法である。
  2. 母集団から標本を得ることを標本抽出とよび,標本から母集団に結論を一般化することを統計的推測とよぶ。
  3. 統計調査などによって得られたデータでない場合でも,記述統計的な手法によりデータを要約しデータから有用な情報を得ることができるが,母集団の概念が無いため,そのような情報をどの範囲にまで一般化してよいかについては判断することができない。
  4. データの背後にある母集団が明確に定義できなかったり,母集団が仮想的なものであったりする場合には,推測統計の手法を用いることができない。
  5. 母集団からの無作為抽出の1つの利点は確率論を用いることによって,標本が母集団からどの程度乖離するかについても評価を行うことができる。

(答え)4

(解説)

母集団が明確でなかったり,母集団が仮想的な場合でも,データの背後にそのデータを代表する集団を考えることができ,データがその集団から確率的に得られたものと想定できる場合には,推測統計の手法を用いることができます。ただし,想定が適切であるかどうかについての吟味は必要です。

母集団と標本や無作為抽出に関する記述について、適切でないものを、次のa.〜e.のうちから一つ選びなさい。(『統計学II』最終テスト問題1)

  1. 無作為抽出の一つの利点は、確率を考えることによって、標本が母集団からどの程度乖離するかについても評価をおこなうことができることである
  2. 母集団のサイズが大きく全体を調査することが不可能な場合には、その一部を標本として抽出して調査するが、その際に平均的に偏りのない標本を得る手続きとして無作為抽出が基本的な手続きである
  3. 母集団から標本を得る手続きを統計的推測とよび、標本から母集団について結論を一般化することを標本抽出とよぶ
  4. データの背後にある母集団が明確に定義できなかったり、母集団が仮想的なものであっても、推測統計の手法を用いることができる
  5. 統計調査によって得られたデータでない場合でも、記述統計的な手法によりデータを要約しデータから有用な情報を得ることができるが、母集団の概念が無い場合、そのような情報をどの範囲にまで一般化してよいかについては判断することができない

(答え)3

母集団から標本を得る手続きは標本抽出といいます。標本から母集団について結論と一般化することが統計的推測です。説明が逆です。

他の記述は適切です。