予測不可能なできごとでも、損か得かを計算できるというお話です。
英語では expectation といいます。
まずは直感的?に理解できるように説明します。日高弘子さんの『仕事に役立つExcel統計解析 改訂版』(ソフトバンク・クリエイティブ, 2008年)の289ページが私にとってはわかりやすい説明だったので、これを使わせてもらいます。
サイコロを投げるとき、サイコロにインチキでもない限り、確率 1/6 になることはみんな知っていると思います。では、このサイコロを例えば12回、あるいは18回、24回投げたとき、1から6までの目は何回くらい出ると予想されるでしょうか。
例えば、サイコロを18回投げた場合、確率が1/6なので、3回ぐらいは出ると期待できます。このように“確率1/6だから”という理論にもとづいて得た値を期待値といいます。なお、18回投げた結果と期待値を合わせて表にすると次のように書くことができます。
サイコロの目 | 出た回数 | 期待値(回) |
---|---|---|
1 | 4 | 3 |
2 | 2 | 3 |
3 | 2 | 3 |
4 | 3 | 3 |
5 | 3 | 3 |
6 | 4 | 3 |
合計 | 18回 | 18回 |
あらためて書きますが、この「3回」ように確率的に期待される数値のことを期待値といいます。覚えておきましょう。
(注)私が勉強のために使ったファイルのダウンロード(exp.ods)
サイコロを180回投げたとき、その平均はいくつになると予想されるでしょうか。
Excelで実際にシミューレーションしてみると、だいたい3.5ぐらいになることが予想できます。
つまり、確率変数 × 確率 の合計 で表されます。
(工事中)
工事中
ただし、これはあくまで計算上の値であり、実際にゲームを行えば、2等があったり、はずれがあったりと、結果はバラバラになる。しかし、このゲームを複数回繰り返せば、得点の平均点は7点に近づいていく。
(例1)ある商店街で、福引を企画しました。福引の景品は商店街組合の運営費から捻出します。集客率を上げることはもちろん大切ですが、福引のせいで赤字になってはせっかくの企画も台無しです。福引の景品が次のようになっているとき、商店街組合が損をしない福引券の値段を考えてみましょう。
(日花弘子『仕事に役立つExcel統計解析 改訂版』ソフトバンククリエイティブ, 2008年, p.153)
(考え方)今回の福引は空くじなしです。したがって、くじの総数は1等から5等までの本数の合計です。各賞の出る確率はクジの総数に対する当たり本数で求められます。この問題では確率変数は、それぞれの景品の金額になります。
(1)次のようなシートを用意します。
なお、セル【B7】には =SUM(B2:B6)
、セル【D2】には =B2/$B$7
が入力されています。
(2)金額×確率を求め、最後にその合計を求めれば、それが期待値です。
セル【E2】には =C2*D2
、セル【E7】には【E2】から【E6】までの合計を求める式(=SUM(E2:E6)
)が入っています。
セル【E7】の 348というのが今回の期待値になります。
福引券の期待値は約348円です。
1回福引をしたら、15万円相当の1等があたるかもしれませんし、10円相当の5等しか当たらないかもしれません。つまり、試行(今回は「福引」)の結果の平均には違いがあります。しかし、福引券を買い占めれば、すべての賞がもらえます。このときの福引券1本あたりの値段は 348 円くらいになると期待できます。
福引が全部引かれた場合の1枚あたりの福引券の値段が 348円 です。この金額を目安にして、福引1回の値段を決めればいいのです。たとえば、「500円のレシートつき1回」とするのです(349円以上に設定すればいい)。
(例2)1〜13までのダイヤのトランプがあり、何の数字かわからないように裏返しに置いてあるとします。この中から
期待値の問題演習というページに集めておきました。
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