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中間テスト(追試験・再試験)

(注)本試験はこちら

この課題を2012年11月20日の授業開始直後に提出して、なおかつすべて正解していれば中間試験を25点(50点満点中)ということで評価する。出せば無条件に25点にするわけではない。

問題 1
以下の文章の正(○)誤(×)を判断せよ。

1. 特別法は一般法に優先する

(答え)正しい()。特別法は一般法に優先する。本試験とは逆になるよう出題した。

2. 1つの事件に公法と私法が併行して適用されることはない。

(答え)誤り(×)。例えば交通事故のように、併行して適用される事件もある。

3. 憲法の最終的な解釈権は、国権の最高機関である国会に帰属している。

(答え)誤り(×)。国会に違憲審査権はない。

4. 国会が憲法改正の発議をなすためには、各議院の総議員の3分の2以上の賛成が必要である。

(答え)正しい(○)。

5. 憲法改正の案をいずれかの議院に提案することを「発議」といい、国会が国民に対して憲法の改正を提案することを「発案」という。

(答え)誤り(×)。本試験には出題せず。

6. 憲法改正案を審議するためには、総議員の3分の1以上の出席を必要とする。

(答え)正しい(○)。教科書p.249のNo.13ならびに本試験の問題1の8を参考に出題した。元ネタは1/2 だったが、これを 1/3 にしたもの。教科書p.247に説明が出ている。

7. 外国人は、憲法上、政治活動を行うことをいっさい禁止されている。

(答え)誤り(×)。教科書19ページNo.3から出題。本試験でも問題1の11で出している。全面的に否認されているわけではない。13ページ「マクリーン事件」参照。授業中ならびに本試験の答え合わせで念入りに説明した。

8. 法人は、たとえば、裁判を受ける権利、刑事補償請求権を享受することができない。

(答え)誤り(×)。教科書19ページNo.4から出題。本試験でも問題1の12で出している。裁判を受ける権利は享受することができる。14ページ参照。

9. ある私立大学は、学則において、大学に許可を得ないで政治活動を行うことを禁止していた。判例はこのような学則も違法とはいえないと判断した。

(答え)正しい()。教科書19ページNo.11から出題。本試験では問題1の16で出した。教科書18ページ昭和女子大事件参照。

10. 民間企業が、特定の思想、信条を有する者を、そのことを理由として雇い入れを拒否することは、違法である。

(答え)誤り(×)。教科書38ページNo.5から選択肢2を抜粋したもの。三菱樹脂事件の判決趣旨。企業が特定の思想・信条を有する者をその故をもって雇い入れることを拒んでも、当然に違法とすることはできないとするのが判例である(最判昭48.12.12)。

11. ヘアスタイルや服装の自由も幸福追求権に含まれる。したがって、市長が市の職員に対し、ヘアスタイルや服装について規制を設けることは違憲である。

(答え)誤り(×)。教科書33ページNo.3から出題。前半は正しいが、後半は誤り。

12. プライヴァシーの権利は、あくまで公権力との関係において主張しうるものであるから、私人たる作家がその作品において、他者の前科を実名を用いて書いたとしても、プライヴァシー侵害の問題は生じない。

(答え)誤り(×)。教科書33ページNo.5から出題。本試験では問題1の19で出した。プライバシーの権利は私人に対しても効力を持つ。教科書28ページ、ノンフィクション「逆転」事件参照。

13. 企業の就業規則において男女差別があれば、憲法14条に違反し無効である。

(答え)誤り(×)。長尾一紘『はじめて学ぶ やさしい憲法』(実務教育出版)の72ページ練習問題No.2の選択肢2より出題。本試験では問題1の20で出した。直接憲法に反するから無効とされるのではなく、中間に民法90条が介在する。

14. 強姦罪の規定は、男性のみを罰するものとしているので、法の下の平等に反する。

(答え)誤り(×)。教科書33ページNo.9から出題。本試験でも問題1の21で出した。教科書30ページ参照。

15. 尊属殺規定(刑法旧200条)は、尊属と卑属の関係において、差別的取扱いをしているので違憲である。

(答え)誤り(×)。理由づけが間違っている。

問題 2
つぎの記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 憲法99条は天皇にも直接憲法尊重擁護義務を課しているから、天皇が当該義務に違反する行為を行った場合、同条の規定にもとづきその責任を負う。
  2. 国が公務員に対して憲法遵守の宣誓の義務を課すことは、個人の思想・良心の自由を侵害するおそれがあるため許されない。
  3. 公務員が憲法の内容を否定し、また改正を主張することは、憲法尊重擁護義務に違反するからおよそ認められない。
  4. 憲法尊重擁護義務は国政の運営にあたる公務員に対してとくに課せられたものであるが、憲法99条にいう「その他の公務員」には地方公共団体の公務員も含まれる。

〔参考〕日本国憲法99条
天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

教科書250ページより一部変更して出題。本試験の問題4とそのまま同じ形で出題した。答えは4

  1. 誤り。天皇については無答責の原則(憲法3条)から内閣がその責任を負う(教科書p.147も参照)
  2. 誤り。公務員は憲法尊重擁護義務(憲法99条)を負うところから、公務員に憲法の尊重・擁護を宣誓させることは、職務の性質上むしろ本質的要請とされている。
  3. 誤り。公務員が憲法改正を主張することは、憲法尊重擁護義務に反するものではない。ただし、憲法が定める手続き以外の方法での変更を主張することは、当該義務に違反することになる。したがって、ここでは「およそ」(=一切)という表現がまずいということになる。
  4. 正しい。

問題 3
憲法改正に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。(地方上級)

  1. 国会における憲法改正の発議についても、法律案と同様に衆議院の優越が認められている。
  2. 憲法改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成を経た後、国民投票において、その3分の2以上の賛成を経たときに行われる。
  3. 憲法改正について国民の承認を経たときには、天皇は、国民の名で直ちにこれを公布しなければならない。
  4. 憲法改正の国民投票は、衆議院または参議院の選挙のさいにのみ行うことができる。
  5. 憲法改正が改正手続きによって行われるかぎり、改正の内容には限界がないとするのが通説である。

教科書254ページのNo.8より出題。答えは 3

問題 4
次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. (国政・地方含めて)選挙権は国民固有の権利であるから、外国人にこれを保障することは憲法上禁止されている。
  2. 法人に懲役刑を科すことはできないが、罰金刑を科すことは可能である。
  3. 天皇にも結婚の自由は保障されている。
  4. 法人は人間(自然人)ではないから、権利能力を持たない。
  5. 外国人は、社会保障について、日本国民と同様の権利を享受しうる。

(答え)本試験では問題6で出題。元ネタは長尾一紘『はじめて学ぶやさしい憲法』72ページ。

  1. 誤り。国政選挙についてはその通りだが、地方選挙権については法律次第で選挙参加も許されうる。
  2. 正しい
  3. 誤り。保障されていない。
  4. 誤り。権利能力を持つ。
  5. 誤り。同様の権利までは保障されていない。

したがって、答えは 2

問題5
憲法13条に関する次の記述のうち、判例に照らし妥当なものはどれか。

  1. 憲法13条後段のいわゆる幸福追求権の規定について、判例は当初から一貫して具体的権利性を認めている。
  2. 個人の私生活上の一つとして、なんびともその許諾なしにみだりにその容ぼう、姿態を撮影されない自由を有する。少なくとも警察官が正当な理由もないのに個人の容ぼう等を撮影することは憲法13条の趣旨に反し、許されない。
  3. 前科および犯罪経歴は、人の名誉、信用に直接かかわる事項であるが、市長が弁護士会の紹介に応じ、犯罪の種類、軽重を問わず、前科などすべてを報告したとしても、そのことは弁護士会の公的性格にかんがみ、公権力の違法な行使に当たるものではない。
  4. 自動速度監視装置による運転者の容ぼうなどの撮影は、本人の承諾にもとづかないものであるから、憲法13条に違反する。

〔参考〕日本国憲法第13条
すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

本試験で出題済み。同じ形で出題した。教科書p.34のNo.2を一部変更して出題した。

  1. 誤り。憲法13条の法的性格については、判例は当初は明確な態度を示していなかった。京都府学連事件において具体的な権利性を承認するに至った。
  2. 正しい
  3. 誤り。プライバシーの重要性に鑑み、たとえ弁護士会からの照会であっても、市長が合理的な理由もなしに
  4. 誤り。自動速度監視装置による撮影は、速度違反などの現行犯などになされ、緊急に証拠保全をする必要があり、相当な方法によるものである(最判昭61.2.14)

したがって、答えは 2

問題6
次の記述のうち、正しいものはどれか。

  1. 日本国憲法は、絶対的平等主義をとっている。
  2. 憲法14条に列挙されていない事項についても、差別することは原則的に許されない。
  3. 嫡出子と非嫡出子の間に、相続分について差別をもうけることは、違憲である。
  4. 女子のみに再婚禁止期間をもうけることは、違憲の男女差別である。

長尾一紘『はじめて学ぶやさしい憲法』(実務教育出版)92ページの練習問題No.2より出題。

  1. 誤り。判例は相対的平等を原則としている。
  2. 正しい
  3. 誤り。
  4. 誤り。

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