以下はNewton別冊『「偶然」にひそむ数学法則 確率に強くなる』(ニュートンプレス, 2010年)の55ページに書かれていた記事です。面白いのでここに抜粋しておきます。
ギャンブルで連続して勝った時場合、私たちは「ツキがあった」と喜びます。逆に負けが込むと「ツキがなかった」と悔しがります。
しかし、そもそも「ツキ」というものは実際に存在するのでしょうか。
結論から言えば、「ツキ」と呼んでいるのは、結果のかたよりのことです。別の表現をすれば「統計上のゆらぎ」「長時間プレイすれば必ず起こる連続した勝ち負けの大波」ということです(谷岡一郎『ツキの法則』p.138)。例えばコイン投げで裏が9回連続で出るケースも当然あります(大数の法則 参照)。
これがもしギャンブルで9回連続で負けが続いたら、私たちはツキが無いと思うでしょう。しかし、実際には、9回連続して裏が続く確率は次のようになります。
$\displaystyle (\frac{1}{2})^{9} = \frac{1}{512}$
1000回投げたら、確率 1/512 のことが起きる可能性も十分に考えられます。確率のかたよりを考えれば、10回連続、11回連続といったことが起きても全く不思議はありません。
結局、ツキとは、後になって検証した際に、偏った結果を見てツキと感じているにすぎないのです。例えば、ギャンブルで絶好調が続いていたとしても、それはあくまで偶然の結果であり、同じ条件である限りは確率そのものは変化していません。次で勝つ確率は本来の確率のままなのです。
(補足)上の分数式の表示ソース
$\displaystyle (\frac{1}{2})^{9} = \frac{1}{512}$
ツキをコントロールすることはできないのですから、ギャンブルの期待値が 100% を下回っているときには、運良く勝っている間に“勝ち逃げ”するのが正解ということになります。
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