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2013年度 中間テスト(中間試験)

2013年12月3日

40点満点。PDF版の解答はここからもダウンロード可能。

問題1

次の文章の正誤を判断せよ。(各1点 全部で18点)

1. 法の効力の及ぶ範囲で法を区分すると,一般法と特別法に分類されるが,一般法は広く一般的に適用される法であるから,一般法が特別法に優先して適用される。

(答え)誤り(×)。教科書12ページの選択肢5より抜粋。特別法は一般法に優先する。特別法は一般法が規律する法律関係のうち特別の関係について特別に規律するために作られた法であるので,その特別の関係については特別法が優先に適用される(民法に対する商法など)。(教科書13ページの解説より)

2. 商法は、商取引に関し、商法に規定のないものについては、商慣習法を適用し、商慣習法がないときは、民法を適用すると定めている。

(答え)正しい(◯)。商法第1条第2項そのまま。

商事に関し、この法律に定めがない事項については商慣習に従い、商慣習がないときは、民法 (明治二十九年法律第八十九号)の定めるところによる。

3. 法は,公法と私法に分類されることがあるが,公法には憲法,刑法,刑事訴訟法などが含まれ,私法には民法,商法,民事訴訟法などが含まれる。

(答え)誤り(×)。教科書12ページの選択肢1より抜粋。民法・商法は個々人相互間の利害・生活関係について規律している法であるので私法であるが,民事訴訟法は裁判手続について規律する法であり,公法に属する。

4. 1つの事件に公法と私法が併行して適用されることはない。

(答え)誤り(×)。例えば交通事故のように,併行して適用される事件もある。昨年の中間テストでも出題している(問題1の2)。

5. 憲法の最終的な解釈権は、国権の最高機関である国会に帰属している。

(答え)誤り(×)。国会に違憲審査権は無い。昨年の中間テストにも出題済み。

6. 国会が憲法改正の発議をなすためには、両議院の出席議員の3分の2以上の賛成が必要である。

(答え)誤り(×)。日本国憲法第96条より。各議院の総議員の2/3以上。参考書249ページから出題。同247ページも参照のこと。

この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行われる投票において、その過半数の賛成を必要とする。

7. 国会における憲法改正案の審議において、衆議院先議の原則が定められている。

(答え)誤り(×)

8. 憲法改正案を審議するためには、総議員の2分の1以上の出席を必要とする。

(答え)誤り(×)

9. 天皇は、改正憲法の公布に当たって、その内容が明らかに憲法の基本原理に反すると思料したときには、公布を行わないことができる。

(答え)誤り(×)

10. 憲法上、外国人に対して、労働基本権は必ず与えなければならないが、勤労権は与えなくてもよい。

(答え)正しい(◯)

11. 外国人は、憲法上、政治活動を行うことをいっさい禁止されている。

(答え)誤り(×)

12. 法人は、たとえば、裁判を受ける権利、刑事補償請求権を享受することができない。

(答え)誤り(×)

13. 天皇の人権享有には大幅な制約があるが、皇族については一般国民と同等の人権享有が確保されるべきである。

(答え)誤り(×)

14. 憲法14条は法の下の平等を定めているが,合理的な区別は認められており,不合理な差別的取扱いだけが禁止される。

(答え)正しい(◯)

15. 民間企業が、特定の思想、信条を有する者を、そのことを理由として雇い入れを拒否することは、違法である。

(答え)誤り(×)。三菱樹脂事件参照。

16. 企業の就業規則において男女差別があれば、憲法14条に違反し無効である。

(答え)誤り(×)。理由づけが間違っている。

17. 強姦罪の規定は、男性のみを罰するものとしているので、法の下の平等に反する。

(答え)誤り(×)

18. 尊属殺規定(刑法旧200条)は、尊属と卑属の関係において、差別的取扱いをしているので違憲である。

(答え)誤り(×)。理由づけが間違っている。

問題 2
次の法令用語の慣例的な読み方について誤っているものはどれか。

  1. 瑕疵 − かし
  2. 遡及 − そきゅう
  3. 看做す − かんさす
  4. 若しくは − もしくは
  5. 但し − ただし

(答え)3

問題 3
各種の法解釈技術を用いて「ここに馬をつないではいけない」という立て札を解釈する場合,AからDに当てはまる法解釈技術の組み合わせとして正しいのはどれか。(国税専門官, 平成4年度)

A ロバも馬の一種だから,やはりロバもつないではいけない,と解する。
B 馬という言葉は本来,小さい馬も含むが,この場合,小さい馬はつないでもよい,と解する。
C 牛は馬とは違う動物だから,牛はつないでもよい,と解する。
D 馬のような草食動物をつないではいけない,という趣旨に解し,同じ草食動物である牛もつないではいけない,と解する。

  1. 論理解釈 縮小解釈 反対解釈 有権解釈
  2. 論理解釈 文理解釈 反対解釈 有権解釈
  3. 拡張解釈 縮小解釈 目的論解釈 有権解釈
  4. 論理解釈 縮小解釈 反対解釈 類推解釈
  5. 拡張解釈 文理解釈 目的論解釈 類推解釈

(答え)4

問題 4
次のうち現行の憲法上可能なものはどれか。

  1. 参議院を廃止して国会を一院制にすること。
  2. 皇室の事件を専門とする特別の裁判所を設置すること。
  3. 会計検査院を廃止して内閣府に監査委員会を設置すること。
  4. 法務省に裁判官の懲戒処分を行う機関を設置すること。
  5. 一部の地方公務員について法律で規定し直接選挙により選出すること。

(答え)5

問題 5
日本国憲法上に規定する天皇に関する記述として,誤っているものはどれか。

  1. 皇位は世襲のものであって,国会の議決した皇室典範の定めるところにより,これを継承する。
  2. 天皇の国事に関するすべての行為には内閣の助言と承認を必要とし,内閣がその責任を負う。
  3. 天皇はこの憲法の定める国事行為のみを行い,国政に関する機能を有しない。
  4. 天皇は法律の定めるところにより,その国事に関する行為を委任することができる。
  5. 皇室に財産を譲り渡し,または皇室が財産を譲り受け,もしくは賜与することは,内閣の助言と承認に基づかなければならない。

(答え)5

問題 6
明治憲法下の政治制度に関する記述として,妥当なのはどれか。

  1. 明治憲法下では,陸海軍を指揮命令する統帥権は天皇が有していたが,議会や内閣もそれに関与することができた。
  2. 明治憲法下では,帝国議会は衆議院と貴族院からなる二院制をとり,衆議院は民選であったが,貴族院は皇族,華族および勅任議員から構成された。
  3. 明治憲法下では,天皇は,行政組織や官吏制度について議会の承認なしに勅令でこれを定めることはできなかった。
  4. 明治憲法下では,司法裁判所の裁判は民事裁判と刑事裁判に限られ,行政裁判は別に設置された枢密院で行われた。
  5. 明治憲法下では,議会は天皇の立法権を輔弼する機関であり,各国務大臣は天皇に協賛して行政権を行使するものとされた。

(答え)2

問題 7
日本国憲法で「公共の福祉」による制限を明文化している権利は次のうちどれか。

  1. 生存権
  2. 財産権
  3. 教育権
  4. 環境権
  5. 団結権

(答え)2

「公共の福祉」とともに,それぞれの権利でのキーワードを覚えておく。

  1. 誤り。「健康で文化的な最低限度の生活」(25条1項)
  2. 正しい。29条2項と3項を確認しておくこと。
  3. 誤り。「その能力に応じて,ひとしく教育を受ける権利を有する」(26条1項)。ただし,権利と義務を混同しないこと。
  4. 新しい人権であり,憲法に記されていない。
  5. 労働三権は「これを保障する」と述べられている。教育同様,権利と義務を混同しないこと。

問題 8
次の記述のうち、正しいのはどれか。

  1. (国政・地方含めて)選挙権は国民固有の権利であるから、外国人にこれを保障することは憲法上禁止されている。
  2. 法人に懲役刑を科すことはできないが、罰金刑を科すことは可能である。
  3. 天皇にも結婚の自由は保障されている。
  4. 法人は人間(自然人)ではないから、権利能力を持たない。
  5. 外国人は、社会保障について、日本国民と同様の権利を享受しうる。

(答え)2

長尾一紘『はじめて学ぶやさしい憲法』72ページより出題。2012年度の中間テスト中間追試験後学期試験にも出題した。

  1. 誤り。国政選挙についてはその通りだが、地方選挙権については法律次第で選挙参加も許されうる。
  2. 正しい。
  3. 誤り。保障されていない。
  4. 誤り。権利能力を持つ。
  5. 誤り。同様の権利までは保障されていない。

したがって、答えは 2

問題 9
人権の享有主体に関する次の記述のうち、妥当なものはどれか。

  1. 憲法3章に定める国民の権利および義務の各条項は、国民すべてに等しく平等に適用されるもので、成年者のみを対象とした規定は存在しない。
  2. 天皇も日本国民としての人権が保障され、ただ職務の特殊性および皇位の世襲制から必要最小限の特別扱いが認められるにすぎないから、選挙権・被選挙権などの参政権を認めることも許される。
  3. 在監者は一般国民とは異なった人権制限に服することとされ、新聞閲読の自由や信書の発受を行う自由は認められない。
  4. 国政選挙の選挙権・被選挙権は、国民主権原理から日本国民のみに認められた権利であって外国人には補償は及ばないが、いわゆる定住外国人に法律で地方公共団体の選挙権を付与することは憲法上禁止されていない。

(答え)4

問題 10
以下の人権のうち、通説・判例において、外国人に憲法上の権利として保障されないものを1つ選べ。

  1. 新聞社を設立すること
  2. 衆議院議員選挙で投票すること
  3. 労働組合に加入すること
  4. 日本から海外に出国すること

(答え)2。外国人に国政選挙権を与えることは禁止されている。保障もへったくれもない。

昨年の中間テストにも出題した。


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Last modified: 2013-12-16 12:45:35